フェルマーの最終定理 / サイモン・シン

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

 

非常に読みやすく解りやすく数学の世界に触れられた。

「高校あたりで数学の授業を始める前にまずこの本を読ませるべき」と思わせる熱さがあった。学校の授業は大抵が「なぜこれを学んでいるのか」という目的が隠れがちな気がしている。いきなり微分方程式がなんたらと言われてもわけがわからない。今ここにいる理由を生徒はわからないままに過ごすことになっているように思う。

この本ではその「目的」が一貫して解る。ワイルズフェルマーの最終定理を解いたというオチは分かりきっているし、解くためには数学の歴史全部が必要だった。だからこそ、それぞれの歴史を見ることの価値が非常に高まっている。ピュタゴラスから始まる数学の歴史全てがフェルマーの最終定理の(説明|証明)に関係してくることは本文中で随時教えてくれる。先がどうなるかだいたい分かっているのでスラスラと読めてしまう。だから読みやすい。解りやすい。

 

内容に関係のない所で言うと、数学者たちは間違ったことを話したくないから話しかけてから1分後に返事を返すことはザラ、という件は共感できる。なのでよく「黙ってないで何とか言ってよ!」みたいに妻に怒られてしまうし、会社でも「なんで確認しないの」と言われ返す言葉も無く沈黙してしまう。

こう怒られていると、最近は思ったことをすぐ話すこともコミニュケーション上大事だと思い出し練習を重ねている。間違ったことを言ってしまいそうな恐怖はあるが、それは自分の根底から出た言葉なので間違っているものは間違っているのだ。返事をしないことの方が大きな間違いである場合も大いにある。

 

パズルは過程を楽しむ遊びだ。証明は過程を示す方法だ。この過程を暗算してすっ飛ばすと、このブログのように読みにくいものになってしまうので、もう少し間を埋めようと思う。

 

(タイムスリップは過去を変えると未来が変わるのが定番だけど、

「書き換えられた後の文章を読んでいる」というメタ要素がある小説とか面白そうだ。)