脳はなぜ「心」を作ったのか / 前野隆司

脳はなぜ「心」を作ったのか「私」の謎を解く受動意識仮説 (ちくま文庫)

脳はなぜ「心」を作ったのか「私」の謎を解く受動意識仮説 (ちくま文庫)

ここまで主観的な考えを突っ走って書かれた本を読むのは初めてだけど、本当は殆どの本と大差ないのかもしれない。本の主題は私という意識は無意識によって作られた錯覚であるというものだった。読んだ時に考えたこと思いついたことを書く。

最速の読書法

最速の読書とは自分の思考と書かれている内容が同じになることだと思う。 人間の思考の瞬間風速はかなりのものであり限界速度であるという仮説だ。 読む意味がないわけではない。 読みながら未来を予測し脳内メモリに予め読み込んでおく。予測が当たれば高速で動作し、外れたら再ロードすればいい。読書速度を早めるには内容を予測するべきだ。 この予測はフードフォワード制御と言うらしい。学習のフィードバックに高速のフィードフォワード。両方うまく使い分けるべきだ。

ニューラルネットワークを実装

脳の神経細胞は1か0の状態とその状態をスイッチするための電化値、いくつかの接続網が必要だ。

コードにすると

struct neuron {
  bool status; // on or off
  float e;  // 電位
  struct neuron* esy // 興奮性シナプス
  struct neuron* isy // 抑制性シナプス
}

こんな感じだろうか……?

生産性の最大化

コーディングの生産性を高めるためには大きく2つの方法がある ひとつはこれを読むきっかけになったエントリ http://d.hatena.ne.jp/softether/20070324 にある無意識を最大限利用する方法。 ここからのつながりで何の記事で観たのか忘れてしまったが本書では人間の意識の順番は、無意識→意識→動作の0.5秒で行われるという。意識は自らはただ見ているだけの観察者でありせっせと働いているのは数千億の並列計算機である無意識の方だという仮説だ。また、この記事につながったきっかけのエントリ http://d.hatena.ne.jp/viver/20070422/p2 では論理的思考は人間がコンピュータの動作をエミュレートしているだけなのでオーバーヘッドが大きいしうまくいかない。有効なのは非論理的に無意識を最大限利用することだ。本書でも脳の神経回路は「よく使うほど強くなる」という性質を紹介している。脳をどんどん使って無意識計算力を上げていく。そうやって無意識領域化で並列的に処理させたほうが(考えない)人間にとっては有効だ。どうせ意識は何もできない。というのが1つ目の説だと思う。僕からすれば人間は超ハイスペック説である。

もう一つは「ハッカーと画家」にあるような書きながら考えて全体的に作っていく手法だ。 書く行為は次の思考を刺激する。書いてあれば読み返せる。意識は単一プロセッサなので複数のことを考えるのは苦手だから情報が入るたびに次々に忘れてしまう。しかし書いてさえいればいくらでも読んで思い出すことができる。自分の脳内メモリを外部記憶を使って補い思考以上のスペックを生み出す手法だ。アウトプットとインプットが同時に発生するので試行錯誤のサイクルは早くなる方法になるはずだ。人間にとって苦手な論理的思考を行動しながらまるで絵を描く様に全体的に仕上げていく。これは僕からすれば人間の低スペック説だと思う。

2つはそんなに違うだろうか?書くことで無意識に刺激を与えているのかもしれない。無意識な思考を活かすには全体的に仕上げていったほうがいいのかもしれない。現在の僕のコーディングでは多くて一日に500行が精々だ(git diff —stat)一日に10000行以上書くためにはどうすればいいのか、とにかく書いて書いて書きまくり無意識領域を鍛えるのが僕の精一杯か。