去年の2024年7月くらいからハンドドリップコーヒーにハマって、現在も続いているので現状を記録しておく。
ハンドドリップコーヒーとは
簡単に言うとコーヒーの粉にお湯を注いで抽出し、コーヒーを飲むという体験のこと。
店によってはフィルターコーヒーとかプアオーバーとか言ったりするやつ。
もっと言うと、コーヒーは粉ではなく豆から挽きたい。
きっかけ
同僚がアメリカのお土産に、スターバックス1号店の豆を買ってきてくれた。
これまでコーヒーはドリップバッグで1杯50円くらいのを飲んでいた。好きと言うほどでもないが、覚醒効果があって口寂しさも紛れるので1日2杯くらい飲む生活が何年か続いていた。ドリップバッグより手で淹れた方がパッケージやらのゴミも出なくて安くなるのでは?と何となくだけ思っていた。豆をもらったなら挽いて飲みたい。コーヒーを始める機運が出てきたのだ。
これまでのコーヒー観
コーヒーを淹れている時間が世界で一番時間がゆっくりになる。悪い意味で、である。
昔は正直コーヒーを淹れる時間はダルかった。お湯を注いでただ待つだけ。暇すぎる。かといって絶妙に他のことをしているほどの時間をおくと冷める。コーヒーはアツアツが一番美味しい。焦る気持ちを落ち着かせる必要があった。5秒が永遠に感じる。冷めたコーヒーはマズイので牛乳を入れて飲み干す。コーヒーはあくまで気つけ薬だった。
どうやって淹れるか
さてこのもらったコーヒー豆をどうするか。
最初に安易に浮かんだのがコーヒーメーカー。こんなにコーヒーを淹れるのがダルいのである。簡単であればあるほど良いだろうと思った。
豆を入れてスイッチを入れたらプロペラのグラインダーで挽かれ、ただ待っているだけでサーバーにコーヒーが溜まっているやつ。親戚も使っていたのでイメージもあった。
そんなイメージもありつつも、しかしまあそこまでするほどか?もしかしたらもっと手軽な方法もあるんじゃないか?
とりあえず他にどんな方法があるのか調べだした。
コーヒー系YouTuber
調べていくと、コーヒー系YouTuberがおもしろくていくつか観てみた。すると、ハンドドリップの情報がたくさん出てきた。
コーヒーメーカーは機械なのであまりネタが出せず、ハンドドリップはいくらでもやりようがあるのか、いろんな機材や方法論をYouTuberが熱く語るのである。
コーヒーを淹れるのに世界大会があるなんて知りもしなかった。この熱に当てられた気がする。
コーヒーを飲んでいるのにチョコレートだフルーツだいう言葉が出る。そんな大袈裟な。本当なの?コーヒーってそんなに幅があるものなの?
どうせならおもしろい方へ
結構迷ったが、ハンドドリップのコーヒーグラインダーをネットで注文した。
多くのYouTuberが「コスパ最強」と口々に言うTimemoreのC2だ。たしか9千円台だったと思う。
ドリッパーはなぜか家にあった。今思うと樹脂製のHARIO V60だったが、当時の自分にはドリッパーは同じ名前でも様々な素材バリエーションがあることも知らなかったのだ。ペーパーもなぜかあった。台形だ。っていうかコーヒーメーカーはあった。グラインダー機能はないが、水を入れておけばチョロチョロ抽出されるやつだ。つまり忘れるくらい昔にこれを使っていたのか、使うために譲り受けたが結局使わなかったのだ。まあそれはおいといて、YouTuberが楽しそうにやっているハンドドリップがやりたいのだ。決心がついた私は、コーヒーメーカーを含め今持っているコーヒー器具を全て捨てた。ゼロからスタートしたかったのだ。
近所のカフェ
近所に、いつも満席の人気カフェがある。ここではコーヒー器具も少し売っていて、ガラス製HARIO V60と、V60用HARIO公式ペーパー、HARIOのスケールを一気に買った。後日マグもここで買った。このカフェは自家焙煎のコーヒー豆も販売しており、どれも安くて美味しい。現在もよく通っている。
グラインダーでズルしてしまったが、基本的にネットで買わずに近所で器具も買うと気分がアガる気がする。
味は正直よくわからない
機材は揃ったので、YouTubeを観ながらコーヒーを淹れてみる。苦い。今思うと相当深煎りの豆だ。うまいかどうか、正直よくわからない。でもドリップバッグよりはいいのかも?ぐらい。どうすればもっとおいしくなるのか。どうすればお店並みになるのか。飲むたびになんとなく味が違う気がする。あれこれ試してみるうちに、次の豆にいってみる。なるほど豆によってこれまでの知見が通用しない。深煎りの淹れ方と浅煎りの淹れ方は違うらしい。もっといろんな味が知りたい。いろんなカフェに行ってみる。もっといろんなことが知りたい。コーヒーの本も読む。
自分の好みの味とは
コーヒーの本に「自分の好みの味を探そう」とある。自分の好みって何なんだろう。自分の好きな味って何なんだろう。
浅煎りケニアの味は分かりやすい。グレープフルーツみたいな味がする。オレンジみたいな味のコーヒーもある。深煎りも美味しいやつは甘い。ケーキに合う。中煎りも大人な感じでうまい。どうせならもっと味がわかるようになりたい。味の解像度を上げるためには、味の経験値が必要である。できるだけ沢山のコーヒーを飲んで、できればがんばって言語化して記録する。記録できれば比較や再現、追求ができる。こうして、どんどんとコーヒーにハマっていった。
コーヒーのおもしろさ
おいしい
一番大事なのがこれ。コーヒーはおいしい。何年も飲んでても気が付かなかった。コーヒーはフルーツ。味の幅が広く、ダークチョコレートみたいなコーヒーもあれば、イチゴみたいなコーヒーもあるし、桃みたいなコーヒーもある。無限に味を探求できるおもしろさがある。
淹れた後もコーヒーは温度によって味が刻一刻と変わる。
昔はアツアツが一番おいしいと思っていたが間違っていた。アツアツは、ただ味が分からないだけだったのだ。うまいコーヒーはちょっと冷めたぐらいが一番うまい。果実味がグッと増えてジュワッとした甘味が出てくる。十分冷めてもなおうまい。
楽しい
コーヒーは化学実験みたいな側面もあり、PDCAを回しやすい。粉にお湯をかけるだけと言う一見簡単な作業に見えて、お湯の温度、投入タイミング、投入時間、投入回数、投入量、豆の重さ、挽き目、透過式・浸漬式、様々な変数の掛け算で複雑に味が変わる。
前回とは1つだけ淹れ方を変えてみたり、ガラッと違うことをしてみたり、器具を変えてみたり、同じ器具でも練度をあげたり、いろいろな楽しみ方がある。
かつ料理ほどの複雑さはなく、シングルタスクでよいので集中できる。この適度さ具合も自分に合ってる感じがする。
適度に忙しいので、暇に思う感覚は消えていた。5秒暇なんじゃない。5秒で味が変わるのだ。
そんなに高くない
お店で飲んだら1杯700円のコーヒーも、豆を買って家で飲めば原価180円である。もちろんバリスタの技能や道具、お店の雰囲気はお金に変え難いのでお店にも通うのだが、1日多くても500円くらいの趣味である。
出会い
美味しいコーヒーを探すためなら、敷居が高そうなお店だって入っちゃう。外国人観光客ばかりのオシャレすぎるお店だって勇気を出して突撃しちゃう。何度もかよったお店で顔を覚えてもらってコーヒーの話をして「カップコメント上手ですね」なんて持ち上げてもらったりしちゃう。
以前の自分なら絶対にしなかったようなカフェ巡りをやっているし、幸いコーヒー屋さんが多い地域なのでいくらでも新しい発見、新しい出会いがある。
会社やコミュニティにもコーヒー好きは必ずいるので、コーヒートークで盛り上がれる。
現在
毎日2〜3杯ハンドドリップで淹れている。ハンドグラインダーは若干面倒だが、このゴリゴリ感も悪くない。コーヒーは五感で感じるものなのだ。でも電動グラインダーも気になる。
クレバードリッパーも買った。V60も使っている。豆によって合う合わないがあるような気がするので使い分けている感じだ。現状は、「夏はV60、冬はクレバー」という適当な印象だ。V60はスッキリしているので、夏にスッと飲みたい。クレバーはマッタリしている気がするので、冬にホッと飲みたい。
基本はV60で30秒毎に中湯するシンプルレシピ。最初の蒸らしは40ml、次は+60ml〜80ml、その次も+60ml〜80ml、5投目で2分になり、2分30〜3分以内に落ち切りで大体やってる。日によって2投にしたりスピンしたり蒸らしを1分にしたりと色々試したりしているけど、基本的にシンプルなレシピしか続かない。
豆は相変わらずいろんな店で買っている。いろんな味を探究しつつ、毎日飲むならエチオピアとかペルーのウォッシュドみたいなスッキリ丸い優しい味かなー。数年後の自分はどう思ってるかな。100g 2700円くらいの高い豆(シドラ)も少し買ってみたが、まだそこまで良さと言うか違いがわからない。
エスプレッソもたまに飲んでいる。おいしいけど自分には味が強烈すぎて、それぞれの違いがわからない。
マグはORIGAMIのバレルアロママグ。香りがカップに閉じ込められて感じやすいし、手触りもやさしくてあたたかい。
サーバーはKINTO。最初はサーバーを使わずにマグに直接ドリッパーを乗せていたが、サーバーを使うと圧倒的にそれっぽさがある。これほど機能性ではなく満足性がグッと上がる道具はないだろう。やはりコーヒーは五感で味わうものなんだ。
コーヒーは飽きないのでいくらでも楽しめる。コーヒーはいいぞ。