はじまりのみち / 原恵一
木下恵介誕生100周年記念の映画だそうだ。僕は木下恵介を知らない。1作品も観たことがない。内容は映画映画だった。ヒューゴの不思議な発明が記憶にあたらしいけど、シーンの約半分が木下恵介作品のシーンだった。つまらなくはなかった。(後で知ったけど)原恵一はあのクレヨンしんちゃんのオトナ帝国の監督だそうだ。オトナ帝国は(クレヨンしんちゃんは全部か…)家族愛が全面に押し出された作品だった。このはじまりのみちもそうだろうか。話としては男3人(加瀬亮、ユースケ・サンタマリア、濱田岳)がリアカーを引いてひたすら歩く。病気の母をバスではなく静かに運ぶためだ。僕ならどうするだろうか。母的にも体力の消耗が激しいと見てバスで行くことにするだろうと思う。それでも子は母を想い。母は子を想った。
もう一方の側面も明確にあって、主人公が今後の人生で、自分のやりたいことをひたすらにやるその転換期、「はじまり」を描いたものでもあった。やりたいことをやって、自分が死んでも残るものを作った人だった。死んでも残るものを作るには、自分のやりたいことをやることでしか達成できないのかもしれない。
やりたいことがあってもできない人、やりたいことがなくて悩む人、やりたくないことばかりやる人、やりたいことで成果が出せない人、やりたいことしかできない人、どう生きればいいんだろう。どうすれば死んでも残るものを作れるんだろう。どうして死んでも残るものを作りたいんだろう。むづかしい。